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Hirobaジャーナル

2022/03/31
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札幌ドームの裏側 施設編vol.01 巨大な稼働設備・高所清掃作業の裏側に迫る

※過去に掲載した記事を再編したものです。記載の日時等は当時のものとなりますのでご了承ください。

2015年11月。サッカーの時に使用するホヴァリングサッカーステージなどの点検と展望台のガラス清掃の様子を紹介し、札幌ドームの裏側に迫る。

札幌ドームでは、日々のメンテナンスに加えて、年に1度3日ほどかけて大規模な点検をします。また、年に2度展望台の清掃を行います。今回は、その内容をこっそりお見せします!

ホバリングサッカーステージ

札幌ドームの象徴ともいえる、「ホヴァリングサッカーステージ」は、サッカーの試合で使用される天然芝のサッカー場です。

使用しないときは、屋外で日光を当てながら芝を育成しています。
ホヴァリングサッカーステージは、縦120m、横85m、重さは何と約8,300tもあります。想像しにくいかもしれませんが、この重さはジャンボジェット機約30機分です。

MOVIE

野球場からサッカー場への「場面転換作業」の様子は動画でもお楽しみいただけます!

ホヴァリングサッカーステージ

そんなに重くて大きいホヴァリングサッカーステージを動かすために、ホバークラフトのように空気圧で7.5cm浮上させ、重さを1/10まで軽減しています。 また、34個の車輪を使って分速4m(回転寿司の回る速度と同じくらいゆっくりとした速度)で進みます。

ホヴァリングサッカーステージには、どうやって電気を供給するの?

ホヴァリングサッカーステージの動力は電気。ホヴァリングサッカーステージを動かすために、給電装置とよばれる電気を供給する装置が4か所(屋内に2か所、屋外に2か所)あります。その内の2か所は直進用、もう2か所は旋回用です。

給電方法は、皆さんがよく乗る電車に似ています。走行中の電車が、その上の電線からこするように絶えず受電しているように、ホヴァリングサッカーステージはその底面を給電装置にこするようにして接触させ受電します。

直進給電装置(屋内側)

普段はアリーナの床の下に収納している給電装置。
使用する際には上昇させ、ホヴァリングサッカーステージの底面に接触できるようになっています。
この給電装置は、400ボルトという大きな電圧で電気を供給します。

通常の一般家庭の電圧が100ボルト、業務用冷蔵庫などの電圧が200ボルトということを考えると、とても大きな電圧であることが分かります。電圧とは、電気を流そうとする力です。たくさんの電気を短時間に流すためには大きな電圧が必要となります。ホヴァリングサッカーステージは、短時間にものすごいパワー(電気)を送って動かしているのです。

作業員は、給電装置の下に潜り、ボルトにゆるみが無いか、配線に劣化がないか、電気がもれていないかなどの項目を一つずつ点検していきます。また、一年間に蓄積された汚れも併せて清掃します。

ホヴァリングサッカーステージの車輪ってどうなっているの?

34個の車輪のうち、モーターによる動力付きの車輪は26個です。そのほかの8個の車輪は動力がついておらず、ホヴァリングサッカーステージが動く方向にスムーズに進むようステージを支えています。

▲体格が大きすぎる人には潜れません(笑)

ホヴァリングサッカーステージの車輪の点検は、各々の点検口から潜り、車輪のすぐ横にあるセンサや各種の配線・車軸などの機械を点検します。車輪が摩耗していないか、配線が緩んでいないか、ボルトが緩んでいないかなどの項目を点検します。

また、動力付きの26個の車輪は、直進(真っ直ぐ進む)と決められたそれぞれの角度(ホヴァリングサッカーステージ旋回時)の2パターンあります。そのため、車輪の点検時は、直進の点検と旋回時用の車輪角度での点検を行います。車輪によって旋回時の角度が異なるので、入念な確認が必要です。

車輪のすぐ横に設置している配電盤は高温になるため、ファンで冷却できるシステム。
点検のみならず、こうした付帯設備の清掃も行います

ホヴァリングサッカーステージの下を潜ると車輪があります。車輪の直径は65cmと意外と小さいです。車輪を少し浮かせて回転させたり、ボルトに緩みがないかなどを隅々まで点検します。

開閉式可動席

札幌ドームでは、屋外で芝を育成したホヴァリングサッカーステージをドーム内に入れるため、野球でいう外野スタンド席の一部を開閉できる仕組みになっています。

▲高所恐怖症にはできない仕事です
▲開閉式可動席の入り組んだ内部
▲開閉式可動席内に内蔵されているはしご

開閉式可動席は、12個のブロックに分かれています。収納状態から座席に戻すには両サイドに収納してある6個のブロックが、レールの上をゆっくり進んでいきます。中央でドッキングした可動席は、その後内野側に前進させ、折りたたんであった座席を元に戻せば完成です。

この日は、開閉式可動席内に内蔵されているはしごで上り、様々な点検をします。
この可動席には3,973席の座席が設置されていますが、座席を折りたたむための上下するジャッキや支柱、つなぎ目などの目視や打音検査を行い、一つ一つのボルトの緩みがないかなども点検していきます。

展望台のガラス清掃

札幌ドームには、国内唯一のドーム展望台があります。アリーナから53mの高さに位置し、壮大なアリーナの全景を見下ろすとともに、札幌市街や手稲山、夕張岳までひろがる大パノラマが楽しめます。

クリアな視界で札幌の景色をお客さまにお楽しみいただくために、年に2回展望台のガラス清掃を行います。
アリーナから53mの高さにある展望台。もちろん、ガラスの清掃は、命綱をつけての作業です。

11月下旬。この日は、最低気温2.4℃ 最高気温5.9℃ 曇り時々晴れ。
外での作業は、風が吹き付けさらに体感温度が下がります。降雨、降雪がない日を見計らって、今回は合計6名で約4時間かけて行いました。

展望台view

まずは、アリーナ側に突き出したガラス面の清掃をします。
階段を使って筒状になった部分の上に登り、ブランコに乗った状態で、ガラスを拭きあげ、登山用ロープをつたって下まで降りる…それを何度も繰り返します。

展望台でのガラス清掃は、高所作業となるため専門の業者さんに行っていただきます。ガラス清掃での注意点を清掃担当者に直撃しました。

施設部 施設管理課
遊佐

展望台のガラス清掃は、アリーナから53m、屋外の2Fテラスから約40mという高所作業のため、専門のガラス清掃業者さんに依頼をしていますが、危険性の高い業務なので安全面では特に細心の注意を払っていただいております。

屋外部分は天候に左右されるため、雨や風、雪や低温により延期になることもあり、その場合は日程の再調整が必要となります。展望台の営業に支障をきたさないよう、展望台のガラス清掃は早朝から行い、展望台へ昇る空中エスカレータ内のガラス清掃は夜間に行っています

展望台から市内を見渡す子どもたち

是非、お近くにお寄りの際は展望台から札幌の景色や壮大なアリーナの全景をお楽しみください!

>>展望台の詳細はこちら

「札幌ドームの設備点検シリーズ01」としてご紹介してきた様々な「札幌ドームの裏側」を頭の片隅におきながら、札幌ドームで開催されるイベントをぜひお楽しみいただきたいと思っております。 次回は、「札幌ドームの設備点検シリーズ02」として、今回ご紹介できなかった、野球のときにピッチャーが必ず使う「アレ」などをご紹介します!是非、お楽しみに!

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