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Hirobaジャーナル

2022/03/31
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札幌ドームの裏側 施設編vol.02 旋回式可動席・ピッチャーズマウンドの裏側に迫る

※過去に掲載した記事を再編したものです。記載の日時等は当時のものとなりますのでご了承ください。

札幌ドームでは、日々のメンテナンスに加えて年に1度3日ほどかけて大規模な点検をします。
前回の「設備点検シリーズ01」に続き、今回は前回紹介できなかった「ピッチャーマウンド」などの点検内容をこっそりお見せします!

旋回式可動席

札幌ドームは、サッカーと野球どちらも開催可能な施設ですが、サッカー場と野球場の転換を行うため、一部の座席を旋回させる必要があります。その座席を旋回式可動席と呼んでいます。

旋回式可動席は、野球モードとサッカーモードとでは、全く違うところに設置しています。
同じ位置から見下ろした写真で、旋回式可動席の位置を確認してみましょう。

アリーナを使用するイベントでは「スタンドからアリーナへ降りる階段」を設置しますが、普段は旋回式可動席の下に収納できるようになっています。

ダッグアウトの前列は取り外し可能ですが、後列は旋回式可動席と一体化されており、旋回式可動席と一緒に旋回します。

▲スタンドからアリーナへ降りる階段
階段をすっぽりと収納できます!
▲3塁側ダッグアウト(後列)
▲旋回式可動席はレールに沿って動きます
▲サッカー時は、ダッグアウトがこんなところにあります。

旋回式可動席の点検

動力盤は、旋回式可動席の裏側の通路に設置されています。

旋回式可動席に電気を供給する動力盤の点検では、漏電していないかなど様々な項目を入念に点検します。

旋回式可動席は、ホヴァリングサッカーステージとは異なり、屋内に設置されているため、酸化(サビなどの劣化)の心配は少ないですが、複雑な配線やボルトなどの接着具も多く、また車輪で巨大な可動設備を動かすため、車輪の摩耗などを注意深く確認していきます。

旋回式可動席の内部に潜入!

▲旋回式可動席の内部は天井が低い

車輪を長年使用すると摩耗しますが、その度合を図るため特殊なものさしで車輪の直径を計っています。

旋回式可動席の車輪は、全部で42輪あります。
[内訳]

駆動車輪16輪
内側従動車輪8輪
外側従動車輪18輪
42輪

ピッチャーズマウンド

野球の時にピッチャーが使用する、各塁ベースの中央にある「ピッチャーズマウンド」。

札幌ドームのマウンドでは大谷選手をはじめファイターズ選手が大活躍していますが、野球で使用する時以外は地下に収納可能な昇降式となっております。
その点検の様子を紹介します。

ピッチャーズマウンドの横にある点検口から地下に潜り、昇降式マウンドの下部から点検をします。

ピッチャーズマウンドの真下にある収納庫は、高さ2.8m、広さ100㎡と人が立って作業できるぐらいの空間です。

▲フタを開閉させるときに使用するレールと車輪
▲動力盤の漏電がないか、スムーズに昇降するかなど様々な項目を点検します。
▲昇降装置のシンクロシリンダーの点検や、ベアリング(軸受)にオイルを補充し、併せてほこりなどの汚れも取り除きます。

一通り点検が終わると、実際に昇降テストを実施します。

①マウンドにブルーシートを敷きます。マウンドが地下に収納されている間、ピッチャーが投げる時に踏み出す部分を乾燥から守るためです
②ピッチャーズマウンドを地下に収納します。
③ピッチャーズマウンドが地下に収納されると地下に二つに分けて収納してあった、フタを両端より接合させます。
④しっかりと接合されたフタを、アリーナ面の高さにまで上昇させます。
⑤ピッタリとフタの高さを揃えると、ピッチャーズマウンドがアリーナの床に変身完了です。
⑥ コンクリートモード完成!

昇降式バックネット

あれば、通年設置されてあるバックネットも、札幌ドームのバックネットは昇降式です。コンサートやサッカーのイベントなどではバックネットで視線が遮られるため、使用しないときは41mもの高さまで上昇させ、スタンドのお客さまの視線の妨げにならないようにします。

▲高さが15mもあるため、作業はクレーン車を使用します。
この日は、上昇させるワイヤーやワイヤーを巻き取るウィンチ(4台)のテストをし、スムーズに昇降するかどうか、ならびにネットの破損やゆるみが無いかを点検し、最後に1年かけて溜まったほこりを取り除きました。

「施設点検シリーズ」としてご紹介してきた様々な「札幌ドームの裏側」は、お楽しみいただけましたでしょうか。「札幌ドームの裏側」では今後もさまざまな「人」「仕事」「設備」を定期的に取り上げてまいります。次回もぜひ、お楽しみに!

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