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第1回 定例社長記者会見
2025年8月12日(火)、大和ハウス プレミストドーム B2Fアリーナにおきまして、株式会社札幌ドーム代表取締役社長 阿部晃士による第1回定例記者会見を実施いたしました。
発表内容
発表資料新たな経営プランについて
ドーム経営の振り返り
これまでを振り返ると、寒冷地に、天候に左右されずに人が集まりスポーツ・文化を楽しめる施設を建設したいという構想期、ワールドカップ開催決定によって会社設立・施設オープンとなった創業期、数々の世界大会が開催された一方でエスコンフィールドHOKKAIDOオープンとなった転換期がありました。
道民の誇りでもあるこのドームは、みんなで夢を見ながら立ち上げた、その原点に立ち返らなければならないという思いの中、新しい経営の向かうべき方向を考えました。

新たな経営プランの骨子
2031年の開業30周年までに自律経営をするための「第二の創生戦略」と位置づけまして、経営プランの骨子を考えました。それが『Dreams Move Again、再び夢が動き出す』。
「寒冷地である北海道において、札幌市民・道民のために、多目的かつ天候に左右されないドームを」という先人たちの夢を、もう一度我々が呼び戻そうという思いを込めてこのメッセージを作りました。
このプレミストドームは、野球もサッカーもできる、世界で唯一無二のスタジアム。これに誇りを持ち、「夢を一緒に追いかける株式会社札幌ドーム」というメッセージを込めています。

株式会社札幌ドームの再定義
では、何をするのか、という説明の前に、改めて株式会社札幌ドームを再定義させていただきます。
まず、我々の存在意義/パーパスは、「ドームから北海道・札幌を元気にします」。
2つ目に、使命/ミッションは、「世界から挑戦・興奮・勇気を誘致します」。
そして、未来の姿/ビジョンは、「2031年までに世界と北海道をつなぐ交流創造拠点を目指します」。ここプレミストドームに、様々な方々が集まり、交流をしていただいて、ここから何か新しいものが生まれていく、そんな施設になりたいというふうに思います。そのためには、一つ一つお客さまのご意見をお聞きし、メディアの皆さま、株主、我々のビジネスパートナーの方々からもお話もお聞きしながら、少しでも前進していく。 必ずその声にお応えさせていただくような会社を目指してまいります。

3ステージごとのゴール設定
開業30周年までの期間を3つのステージに分けて、ゴールを設定しました。
1stステージ(2025~2026年度)は、営業利益の黒字化と新規事業の立ち上げ。
2ndステージ(2027~2028年度)は、新規事業の収益化と既存事業の売上拡大。
3rdステージ(2029~2030年度)は、売上30億円と市民への利益還元の拡大。
この3つのステージを、1期2年ごと、しっかり成果と反省を見直しながら目標に向かって進んでまいります。

第二の創生のための事業の柱
第二の創生のための事業の柱の1つ目は、貸館事業。これは今まで我々の得意としてきたところです。昨年度(2024年度)の稼働率は70.4%で、今年度もほぼ週末は埋まっているのですが、空いている平日をどうするのかというところと、分析をしながら収益率の高い仕事を「受ける」のではなく「追いかけて」いかなければいけない。まさしくこれが大きく変わったところではないかというふうに感じています。
2つ目に、「地域の“HOME”へ」ということで、地域との共生を大切にしてまいります。自分が何か考えられる場所、友達と会える場所、自分を癒せる場所だとか、「目的を持って時間を過ごす場所」、これが居場所だと思っていますが、こういう居場所の提供をしていきたい。プレミストドームは、非常に多くの木々もあり、車も通らず非常に安全な場所。もっともっと我々が工夫し、ここに来たくなるような仕掛けを考えて、多くの方々に来ていただきたいなと思っています。
3つ目に、新たな収益事業ということで、グローカルな企業を目指していきたいというふうに考えています。北海道においてインバウンド観光をなくして、観光の隆盛はないと考えているので、グローバルな演出、そして、おもてなしを考えていかなければならない。そして、プレミストドームに来たお客さまを、違う街や、市内の飲食店・お土産屋さんに送客する動線を作るということが、我々株式会社札幌ドームの地域に対する恩返しだと思っております。我々はこの箱の中で利益を上げることだけではなく、北海道全体を考えながら、皆さま方と共に成長していく。そしてみんなが潤う。ゆえにこの大和ハウスプレミストドームがあってよかった、と思っていただけるように進化をしてまいります。

KPI(重要業績評価指標)の設定
2031年までのKPIの1つ目は、売上30億円の達成。昨年度(2024年度)は約18億円ですので、10億円も上げるというのは決して楽な数字ではないですが、できない数字ではないと思っています。貸館事業での売上は20億円ぐらいになると思っていて、残りの10億円は何をするかというと、先ほど申し上げた地域との共生の部分ですとか、グローカル企業、いわゆる新規事業領域を拡大していくというところがポイントになります。
2つ目に掲げた目標は、稼働率80%の達成です。昨年度は70.4%、過去最高が2015年度の77.9%でした。5大ドームでプロ野球球団の本拠地でないのは、このプレミストドームだけ。よって、スポーツだけではなく、文化、エンターテインメントを含めた様々な多目的なビジネスを展開していくというところが今後もキーになってまいります。
そして3つ目は「社会貢献/市民への利益還元の拡大」。この数年、利益が出ていなかったので、札幌市のスポーツ振興基金へ利益を還元できなかったのですが、今後、2031年に向けて拡大をしてまいりたいと考えております。
我々は「北海道・札幌の元気をともに目指して」というキーワードのもと、全社員と一緒に取り組んでまいります。我々だけでは成し遂げられません。札幌市さんの多大なる協力、そして株主の皆さま方、ここに出入りをしていただいている事業パートナーの皆さま方のお力をいただき、そして何度も繰り返しになりますが市民・道民の皆さま方のお声をいただきながら、成長してまいりますので、ぜひ期待をしていただきたいと思っております。


今後の注目イベントと稼働状況について
今期の稼働率の見込みは、現在のところは68%ですが、昨年度並みを目指したいと思っております。今年は、「PACIFIC BASEBALL CHAMPIONSHIP 15U」(国内外から8チームの15歳以下の選手たちが参加する野球の国際大会)や、サバイバルゲームを開催しました。それから、8月31日には、サッカーの天然芝を利用いたしまして、「Green Mind Yoga」というみんなでヨガをするイベントも実施予定です。天然芝は、アウトソーシングではなく、私どもの施設部の社員が愛を持って、一つ一つ手入れをしています。この素晴らしい天然芝で、サッカー以外のスポーツ、今回はヨガを皆さま方に体感をしていただきたいと思っています。

イベントの経済効果試算について
イベントの経済効果についてもお話をさせていただきます。もちろん自律経営をするにあたりまして、黒字化にすることは当たり前の話ですが、これだけではないというふうに感じており、このプレミストドームがあることによって、どれぐらい市・道に影響があるのかというところも本日皆さまにお伝えをしたかったところです。
今年4月から6月には、計26日間イベントが開催されました。この第1四半期の経済波及効果を算出したところ、49.4億円であったことがわかりました。まさしく、このドームがなければ、なかった効果もあるのではないかなというふうに思っています。
特にコンサートでは、道外からも多くのお客さまが来場され、飛行機は満席、市内のホテルも満室、すすきのの飲食店もかなりのお店がいっぱいになると聞いております。このドームで数万人集めるイベントを数多くやっていくことも、我々の使命としてあるのではないかなと考えております。
質疑応答
新たな経営プランの骨子で、「自立経営」ではなく、「自律経営」としたのはなぜ?
自律経営は、会社の話ではなく、社員一人一人がどう考えていくかというところが非常に大事だと思うんです。全社員が、自分の立場・セクションにとらわれず、北海道・札幌を元気するという目的のために、何をすべきかということを考えていかなきゃいけない。そういった意味でこの“律”を使いました。
今月からプロジェクトを立ち上げる予定で、内容はまだお話できないですが、本来の担当ではないところからもメンバーを集めてチームを作ろうと思っています。セクショナリズムがあっては自律した経営ができないので、様々な立場を超え、思考を出し合うことを大事にするため、この“自律”という言葉にさせていただきました。
2031年までに、それより早ければ早いほどいいですが、自律経営を実現してKPI達成を目指します。
第二の創生のための事業の柱のひとつ、グローカル企業を目指すための具体的な案は?
今年2月に実施した「JAL さっぽろスノースポーツパーク 2025」を拡充できないかなと思っています。北海道に遊びに来る海外の観光客の皆さまは、雪を見たことがない方も多く、スキーではなく雪遊びをしたい。地下鉄で来ていただけるこのプレミストドームで、雪遊びをできる場所を提供したいなというふうに思っています。
他にも、駐車場のエリアを使って人々を楽しませるだとか、教育をできる何かだとか、お客さまを呼べるような仕掛けをしてまいります。
新規事業はどのくらい実施したいかなど目標はあるのか?
数が大事ではないと思っており、我々がやりたいものをやるのではなく、「課題解決」という視点が必要だと考えています。社会、地域、企業、個人のたくさんの課題がある中で、このドームでできる課題解決に取り組みたい。例えば食の問題。この周辺に飲食店が少ないような気がしていて、社員や、清掃・警備のスタッフ、そして地域の人にも、おいしいものを提供できないか、それをどうしたら事業化できるのかということを考えたりしています。100個アイディアがあって、3つから5つぐらい当たれば大儲け。ですから、いっぱい新しいことを考えて、失敗しても戻って考えて、きちっと実績も作りながら、新たな売上10億円を社員と一緒に作り出していくところです。
このような新規事業のアイディアは、阿部社長のアイディア?
私のアイディアもありますが、就任から6週間で非常に多くの方々にお会いして、本当に応援をしていただき、いろいろなアイディアもいただいています。その中から取捨選択をし、優先順位もつけていかなければなりませんが、他の役員・社員の意見を聞きながら進み始めているものもあります。社内に、新しいイベントや企画もできるというムードが生まれてきているというのをすごくビリビリ感じているので、社員の声を吸い上げるというのも役員の大切な仕事としてやっていきたいです。
KPIの売上30億円という高い目標を達成する自信は?
達成の自信はあります。ゴールを決めると、それを達成するためにどういうプロジェクトやブレーンが必要なのか、どういうリソースを持ってくればいいのか、どこからお金を持ってきたらいいのか、とバックキャストで考えたら、あまり難しくないと思っています。まずはマーケットを作り出し、そのマーケットを成長させるために、人もお金もモノも投資してやっていく。この高い目標には社員も驚いていましたが、納得してくれたんだなと思っていますので、この社員と一緒に、30億の達成に向けて、もう前を向いて進んでいくだけです。
KPIに営業利益の目標を設定していないのはなぜ?
今回発表した内容をもとに、これから各部課で2031年までの具体的なアクションプランを立てます。その中では、詳細な営業利益なども計画を立て、かなり精緻な目標設定をします。内部では年内には作成し、来年春の株主総会で株主の皆さまにも説明して理解していただければと考えております。
2031年までのビジョンはすでにあったと思うが、改めて作り直したのはなぜ?
作り直したというよりも、数値目標も入れて、社員が向かうべき方向性を作るためにブラッシュアップしたということ。どの山に登っていいかわからなかったところを、ゴールを決めて、そのためにどのような装備が必要なのか準備ができるように、よりクリアでメッセージ性のあるものにしたいと考えました。骨格ができましたが、このあと各部課で具体的なアクションプランに落とし込むところが実は一番大切で、みんなで話し合いながら決めていきたいと思います。
北海道日本ハムファイターズの2軍誘致について、構想はあるのか?
北海道日本ハムファイターズさんがここをホームとして使っていただいて本当に感謝しておりますし、多くの方々に感動を与えてくれたというふうに思っております。2軍移転につきましては、ファイターズさんが決めることで私はコメントできる立場ではないと思っていますが、もちろん、そうなると収益は安定するかな、という思いもあります。しかしやはり、ここは全天候型多目的施設なんです。多種多様のスポーツ、エンターテインメント、文化、市民イベントをここでやるから、いろいろな人に目を向いてもらえると思っています。「第二の創生」というメッセージを出した中では、新しいビジネスで多角化経営をしながら、この施設の気象的な優位性を保っていきたいというところがとても強いです。
新月寒体育館については今回の経営プランに加味しているのか?
いろいろな報道がありますが、まだ直接お話しをいただいているわけではないため、今回の経営プランには加味しておりません。まずは、我々単体で、きちっと安定した利益を出せる仕組みを作るということを考えています。プレミストドームは札幌を代表するMICE施設だと思いますが、アクセス札幌やコンベンションセンターなどとは、道内外へのプロモーションをするうえで連携をしていきたいと考えています。
情報発信の強化について方針は?
今は、当社の公式WEBサイト、X、LINEなどがありますが、それだけでは不十分だと思っており、新たな発信方法を考えなければならないと考えています。まだ決めてはいませんが、学生ともいろいろな連携をしていきたいなと思っていまして、若い人たちのクリエイティブな考えやアイディアも取り入れていきたいです。海外への発信においては、札幌に住んでいる外国人の方々の力を借りるというのも大事だと思います。いろいろな情報が溢れているなかで、同胞の話はやっぱり信用して聞いてもらえるんじゃないかなと思うので、たとえば招待などで留学生などにイベントに来てもらい、その発信を自分の本国にしてもらうというのは、とても有効な手段だと考えています。こういう取り組みをしながら、もっともっと世界から注目していただける施設を目指します。


施設見学ツアー
会見場となったアリーナを出て、会見にご出席いただいた皆さまに施設をご案内する施設見学ツアーも実施いたしました。
今回は、B2F一塁側ロッカールーム、イベント設営のための車両や緊急車両が通る車路、人工芝収納庫、開閉式可動席の裏側、ホヴァリングサッカーステージ、木花を楽しむことができるボタニカルゾーン、6月に新設された「LEVANGA COURT(レバンガコート)」などを、約1時間かけてご案内いたしました。
長時間にわたる会見にご出席いただきました皆さまに、この場を借りてお礼申し上げます。


