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札幌ドームの裏側 施設編vol.04 ホヴァリングサッカーステージの天然芝の張り替え工事の全容
※過去に掲載した記事を再編したものです。
札幌ドームの巨大な天然芝のステージ「ホヴァリングサッカーステージ」は、開業以来日々大切にメンテナンスを行いながら使用してきました。しかしながら、天然芝補修のために散布してきた目砂入れ(※)が、時を重ねホヴァリングサッカーステージの上に蓄積され、重量が増していたため、2018年に重量適正化を図るべく、開業以来初となる天然芝の更新工事を行われました。今回はその全容をご紹介します!
※目砂入れ:天然芝全面に定期的に砂を散布することで、凸凹を修復し、根の発育を促進する作業です。
ホヴァリングサッカーステージの天然芝更新はなぜ行うの?
開業時は重さ約8,300tだったホヴァリングサッカーステージは、日々の天然芝補修時の目砂入れ(※)などにより、開業以来少しずつ重さが増しており、開業時は8,300tだった重さが、設計時の耐荷重9,400tに迫る9,200tにまで重量が増していました。
ホヴァリングサッカーステージは、空気圧によって浮上しドーム内に入る移動式のため、重量が増すと動かなくなってしまう恐れがありました。札幌ドームは2019年にラグビーワールドカップ、2020年に東京オリンピックのサッカー会場になっていたこともあり、天然芝張り替えならびに砂の量調整を2018年に行うことになりました。育成費用や今回の張り替え費用はあわせて約1.7億円です。
工事前のホヴァリングサッカーステージの重さ
天然芝の張り替え作業は「張芝工法」を用いて
天然の芝の更新には、いくつかの工法があります。一般的な工法は、種をまいて育成する「播種工法」です。砂床に種をまいて育成します。費用も抑えられるこの工法ですが、育成期間に1年程度かかります。札幌ドームは、Jリーグの北海道コンサドーレ札幌の本拠地となっており、極力影響が出ないよう工期を短くする必要がありました。そのため、札幌ドームでは工期を最小限少なくするため、「播種工法」ではなく、あらかじめ別な場所で育てていた芝を切り出して張りつける「張芝工法」を用いての作業となりました。
天然芝更新様子
①張り替え用天然芝の育成(2016年8月16日~2018年5月6日)
ホヴァリンクサッカ―ステージの芝の面積は9,072㎡ですが、そのほとんどである、8,970㎡分を札幌ドームの敷地内にあるサッカー練習場(天然芝)で、足りない分と予備分(芝の切り出し、運搬、芝張りなどの作業で生じるロス分)の2,500㎡は、外部の圃場(千歳)で、それぞれ2016年8月から種をまいて芝の育成を開始しました。
2018年4月までの約2年半で育てた芝はしっかりと根の張った素晴らしい芝に成長しました。
②旧芝のはがし作業(2018年5月7日~5月21日)
芝は土部分を6.5cm程度の厚さで、専用の機械でロール状にして剥ぎ取ります。
ロール状に剥ぎ取られた芝は、クレーンでトラックに積載させますが、1ロール250㎏の重さ。そんなに大きくないので人間の手で持てそうな気がしますが、試しに持ってみるとビクともしなかったことは言うまでもありません。このロールは約4,000本、剥ぎ取った芝は約1,000tにもなりました。
③不陸整正(2018年5月21日~6月11日)
不陸整正では、土部分を均して、ホヴァリングサッカーステージの可動に支障をきたさないように、バランスを整えます。なお、重量バランスがとれているかを確認するため、ホヴァリングサッカーステージを浮上させて点検もしました。一面茶色に変身したホヴァリングは、これまで数々のドラマを生んだ芝たちとの別れでもあります。
④新たな芝の切り出し&張り付け(2018年6月12日~6月28日)
いよいよ、ホヴァリングサッカーステージへの張芝が始まります。まずは、サッカー練習場の芝を、その日張れる分だけ切り出して張っていきます。芝は生きているので、その日のうちに張らないと弱ってしまいます。なお、新たに張る芝は、土部分を3cm程度の厚さで切り出して張っていきます。
⑤新たな芝の育成
芝を張り終わったサッカーステージ。約1か月間は、水まき、肥料散布、草刈りなどメンテナンスをしっかり行い、根が張った素晴らしい芝になるよう育成します。
これからも、選手たちがよりよい環境でプレーできるよう、芝の管理を徹底してまいります!
「札幌ドームの裏側」では今後もさまざまな「人」「仕事」「設備」を定期的に取り上げてまいります。次回もぜひ、お楽しみに!